ピストル

あえて抽象化します。

「理由は分からないが、自分の作ったものが褒められている」みたいな現象にときたま出くわします。皆さんもそんな経験無いですか?

 

一種の人間不信なんですかね。大げさかもしれませんが。

「自分が良いと思ったものを他人は自分ほど好いていない」という経験の蓄積が、他人と自分を境界線で分割するような価値観を形成させたのでしょうね。その考え方は正しいものなのかもしれませんが、同時に一種の自己特別視であり自惚れともみなせるから、悪い方向に働き得ます。

かといって人を信じ過ぎてしまうと、これまた裏切られて傷つく結果に繋がるのです。

人に期待せずにいれば案外価値観は共有され得るものだなと思い、そこで調子に乗って人を信じてしまうとやはり裏切られる。私個人に関していえば人生はこれの連続で、徐々に収束した結果が「人を信じない」の方なのでしょう。私は(「自分の美しいと思ったものが人の心を揺さぶるとは限らない」という自明命題を拡充した、「自分の美しいと思ったものが人の心を揺さぶるはずがない」という非自明命題を常に念頭に置くという意味で)人を信じていませんし、その逆も然りです。だから別に好きな音楽を共有しようとも思わない(僕はこれが好きだということに関しては主張するけど)し、自分の書いた文章がどれだけ会心の出来であっても「誰も良さは分かってくれないんだろうな」と勝手に拗ねています。

 

ここまではどうでもいい話で、ここからが本題です。

先述のような世の中に対する背信は誰もが抱く感情だと思っています。それは単純に、自分の作り上げたものに対する客観的評価が本質的に不可能であることに起因していると考えています。

自分の武器に対して無自覚であるのはお互い損でしょう。

ですから、武器に対する自覚を与えてあげて欲しいのです。

「良い」とか「面白い」だけではその先に何をすれば良いかが見えてこないのです。

ちょっと捻った形容詞とかで充分ですので。

 

せめて他人には人間不信に陥って欲しくないなと思ったので、この文章を書きました。