定員オーバー

背中に乗ってるものが多すぎると思いの外簡単に倒れる 誰でも知っている 思っていたよりも自分が弱くてなんだか幻滅する 自分嫌いじゃない それでも過去の自分を嫌いになっていくのは、単純に過去の自分に嫌いな要素が揃っているから 本当にどうしようもないやつだった 変わったと信じたい どうしようもないやつだった自分と話してくれた人間のことを思い出す それが世界のシステムなら、恩返しぐらいはしなきゃいけない 恩返しまではいかずとも食べた分の料金ぐらいは払えよという話

会ったら嫌いになんてなれない 顔のついている人間を嫌うのは俺には難しい それなら会わなきゃいい 会わないのだって難しいけれど、嫌うことよりは簡単だった 遠ざかって、どこまでも遠ざかって、他人になればよかった 必要な代金を支払ったその先には、正しく報酬が用意されている そういうものだろう 幸福、不幸 そんなことをいちいち考えない世の中がいいな 思って、架空の紫煙をふかす

降りかかる不幸を、憂鬱なんて言葉でごまかしちゃダメだ 言えばいい、なんて言葉の軽さをよく知っているのなら、それは正しい うまく伝えられないもどかしさも、うまく伝わってくれない苛立ちも、全て世界のルール まっすぐ伝えることなんてできないし 伝えずにのうのうとのさばられるのも癪に障るし 仕方ない、これが世の不条理だ、なんて、やっぱり軽い 伝えられないのなら逃げる、それだけ

聞きたくもねえよ 背負わされていいのは、了承をしたときだけでいいのに 許可を出していないのに勝手に二等分 もしくは二倍あればいい そんなこと言っていない 知りたくもなかったこと、知って損する事実 耳をふさぐか、なかったことにすればいい 溜め込んで別に爆発はしない 保険みたいに、打算で二分割を受け取る必要はない

とっくにそういう時代は終わっているんだ 歳をとりすぎた じきに赤色になっていくだろう その中間で、どっちに行こうか迷うのも、迷わずに行きたいところへ進むのも自由 どっちが自然な方向で、どっちが逆流なのかなんて、わかるだろ

過去に何があったかなんて、今とは関係がない 切り離して考えるべきだ 恩、打算、支払い、貸し借り、いずれも馬鹿げている ただ重たいから振り払いました それでいいだろ それ以上も以下もない