停滞

どこかで息をしている。なんとなく、憂鬱な気分になる。本気で手を伸ばせば届いてしまう距離。遠いと思う。

一緒がいいというのだって、いくらか都合がいい。いつだって一方通行だ。思うのも、思われるのも。言葉にする勇気も、そもそも意味もない。言えなかったことが積み重なったとして、言えなかったことに助けられている。その程度の生き物だと思う。

置き去りにして進む世界を、別にいいと吐き捨てる。無理をすることなんてなかった。結果として、ちゃんと生きていけている。踏み外してなんかいない。

吐いた空気を誰かが吸っている。そういう風にして繋がっているのが、世の中の断面図だと思う。否応がなく繋がっているのは、とても正しいことだ。数珠繋ぎにして届く先が、知らない人だったり、知っている人だったり。

助けられている。助かっている。同じ毎日を繰り返す理由、それが見つけられなくたって、それでもあちこちを彷徨いながら生きていけている気がする。どん底でもトンネルでもない。視界がはっきりしないのは、どこまでも広いから。どこまでも広いというのなら、見えないところで、どこかで息を続けていてほしい。ふと思い出したときに、それが生きる理由になればいい。その程度の憂鬱さがちょうど良かったりする。