近況報告(本について)


近況報告です

 

 

 

 

キーボードを打つ手が止まる瞬間が増えた。3時間を使って2000字程度しか書き上がらない。不調とかスランプとかじゃなくて、書くことが思いつかない。ガス欠。あまり経験のない感覚。書くことが思いつかなかったら、前提として筆を取らないのだし。夏コミまでには書き上げたい。

「文章が上手い人は天賦の才として己が自身の能力を授かっているのではなく、過去それだけ多くの作品に触れたからこそ上手なのである」といった言説を目にした。当たり前すぎることは当たり前すぎるからかえって誰も言わないのかもしれない。本を読むのは大事で、精読にせよ通常の読書にせよ、とりあえずやらないことには始まらないよな。それで重い腰を上げて本を読むのだけど、読むのが遅すぎて消化が追い付かない。これ以上早く読めるとも思えない。わかっていることは、とりあえず量をこなせば結果はついてくるということ。

読書を人に勧めるのは、そうすれば文章が上手くなるというのを知っているからだ。乱読を勧めるのは、人間、作者との相性というものがあるからだ。乱読は難しい。難しいのは読むこと自体ではなく、当たりを引くこと。当然のことながら、信頼できるソースをもとに読む本を選ぶ。何かの受賞作品を読めばとりあえずは外れないし、誰かに勧められるのもいい。だから、読みやすそうな大衆向けの本を4冊列挙する。ただし以下のいずれも読んだことがないことに留意した上で、読むかどうかを熟慮してほしい。ちなみに超のつく有名どころしか挙げないので、悪しからず。

 

 

 


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森絵都。一冊しか読んだことがないが、テンポよく滑らかに話を繋いでいく文体で、それが妙に心地よい。一冊しか読んでないのは単純に読めていないというだけである。もう少し新しい本がいいのなら、『カラフル』(2007)や『みかづき』(2018)も推しておく。

 

 

 

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宮下奈都。他の本は読んだことがあるのに、この本は未読。世間に対して斜に構えているからか。本屋大賞受賞作品で、映画化されたのもあって流石に知ってる人も多いと思う。ピアノ奏者の話だとかいうのを小耳にはさんだ。作者のPNの読み方にちょっととまどうが、「みやした なつ」と読むので覚えて帰って欲しい。北海道に住んでるみたいで楽しそう。宮下作品はこれまた一冊だけ読んだことがあったが、びっくりするほど情報の提示が上手い。目の前に読者に提示したい情報の一覧があったとして、それらをすべて滑らかに繋ぐような芸当が自分にもできるだろうかと考えた。

 

 

 

 

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本屋でアホほど見る。木皿泉。今日はこの本をいよいよカートに入れかけたが、帯についている宣伝文句が普通に苦手だったので買うのをやめた。そうなってしまうと多分俺は今後この本を買わないので(ごみ)、読んだ人は感想を聞かせてくれたら嬉しい。作者は「きざら いずみ」と読むが、ひとりの人間ではなく、夫婦の共著におけるPNらしい。共著とか俺なら絶対喧嘩して方向性の違いで解散すると思う。どうやってそのあたりの折り合いをつけているかについてはwikipediaに詳しい情報が載っている(木皿泉 - Wikipedia)。最近の本屋では『カゲロボ』をよく目にする。本屋通いが趣味の人はわかってくれるだろうと思う。

 

 

 

 

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教科書に載るレベルの大衆文学だし、いくらなんでも流石に読んだ。色々得るものがあるので、読むといいことがある。辞書を作る話で、個人的には"言葉の意味を日本語化するとはどういうことか"についての表現が印象的だった。印象的だったがしっかりとは記憶していない。掴んだと思っても指の間を砂のようにすり抜けていってしまう、みたいな表現だった気がする。間違っていたらごめんなさい。最近の本屋では『愛なき世界』をよく目にする。

 

 

 

 

以上。女性の書く文学ばっかりだ。偶然。読みたい本がなくなったとき、どれかひとつでも手に取ってくれたら、と思う。

amazonのページには電子書籍版の値段も併記してあって、これがなかなか魅力的だ。もっとも、個人的には紙の本を推している。いくつか理由があって、

  • 本屋が好きで、電子書籍によって紙媒体の本を売る小売店が駆逐され得る
  • 上と似ているけれど、本屋が棚を作ることで(読む気のなかった本に惹かれることがしばしば起こり、)読書が捗る
  • 世界観
  • 本の虫というメタファー(ヒント:紙魚という虫がいるだろう、あれになりたい)
  • 他人に貸せる
  • キンドル 持ってない(じゃあ買えよ)

たぶん一番大事なのは世界観な気がする。あの直方体にありったけ想像の世界が詰まっていると思うとたまらない。それから、紙の匂いが好きだ。心が躍る。物質としての本に囲まれる瞬間、心から楽しいと思える。たぶん、そういうことだ。

もっと本を読みたいと思うし、読んでほしいとも思う。自分にあった本を見つけてほしい。たくさん読んでくれ。読めば読むほど、より上手に書けるようになる。もし読むべき本がわからないのなら、ぜひ、代わりに選ばせてほしい。よろしく。