犯罪者

悪について考えるときに、人を殺めたり盗みをやったり、そういう輪郭のはっきりしたものばかり思い浮かべる。本当は悪なんて道端の至るところに転がり落ちていて、目を逸らしながら人に面倒事を押し付けたり、助けるべきところを無視したりする、あれこそが真の悪だ。それなら前者の悪なるものはどうやらスケープゴートで、後者を悪と定義されれば都合の悪い人間たちが、少しでも生きやすくなるようにと世界を捻じ曲げた結果としての嘘なんだな、とふと思った。こんな当たり前のことに気付くのに20数年かかってしまった。これもきっと信号機の裏側とか午前3時のコンビニとかに似た話。