無数

文章が下手な自覚がある。普段日本語の話ばかりしている口からそう飛び出るのは不思議に違いないのだが、自分からしてもこれは不思議な事実だ。つまり、日本語についてよく考え咀嚼し想像する割には文章が下手なのである。例えばこの文章の2文目は下手くそだ。分かりやすい原因で言えば不思議という単語が接近しすぎている。事実という言葉をいちいち使ってしまうのも垢抜けない感じがあるし、前半と後半が上手く繋がっていない。

どうやったって*1俺は日本語が下手*2で、とはいえ及第点程度の日本語なら書ける程度の文章力で、しかしたった一文で読者の胃酸を滾らせるような美しい日本語を書けない*3。あるいは、美意識というか美的感覚というか、文章に対するセンスが欠如*4していたりもする。いいものとそうでないものとの区別が案外つかない*5。悲しいかな、才能の壁みたいなもの*6にぶち当たっている気がする。同時にその予感は、今までと*7同じような一方通行の*8努力が意味をなさないことも示している*9

書いているうちは日本語下手だなぁと何度も思い知らされる*10のだけれども、読んでみればそうも悪くはなかったり*11する。でもそれだって、悪くないという言葉を用いている以上、やはりことさらに*12褒められた文章でもないのだ。相変わらずにも文章は下手*13だ。上手いの対極に位置する下手ではなく、上手いの補集合としての下手だ。美しさがない。本当に美しい日本語を書く人の、一振りのために数時間を費やしている*14ような感じ、まるっきり*15文法を無視してなお脳に魔法がかけられたように物語の世界の色*16が浮かび上がってくる感じ、ああいう妥協のなさがそっくり欠けている。

どうしたってどうにもならない。これ以上は。

ただ文章を読み漁ればいいというものでもない。

だから俺は物語の内容の方でぶん殴るしかなかったのだし、内容で勝負出来ていないからこそ今の自分が忌避している過去の自分の作品もある。

同時に俺は、どうしようもないからと言って立ち止まって泣き寝入りするわけにもいかないのである*17。センスがない*18のは事実で、でもセンスを後天的に獲得するという馬鹿げた目標を据えてもいる。理想と現実との差を埋めようと足掻くことが何より価値のあることだというのは知っている。知っているから足掻く。

でも本音は特効薬が欲しい。

それだけ。

日本語のことを考えるということについてあれこれ思い巡らせているうちにこんな結論に辿り着いた。俺はよく自惚れる人間だから、もう一度身分というものを再確認しようと思ってのことだ。

普段は長い文章を書いているから、節々に妥協が垣間見えてしまうのかな、とも思っている。だから次こそは短いものを書こうと思う。

*1:どうやったってって何? 何をやるんだ?

*2:日本語が下手って物言いが下手

*3:書くの重複

*4:欠如とか使いすぎなんだよ 下手か?

*5:区別がつく以外に語彙ないの?

*6:ものって抽象的すぎるもっと説明できるだろ

*7:今までとがダサい

*8:一方通行? フィーリングでそれっぽい四字熟語使ってんじゃねえよ

*9:示している構文、堅苦しすぎる

*10:ここ下手

*11:悪くはなかったりの語彙が貧弱な感じウケる

*12:すーぐことさらにって使う ワンパターンか?

*13:また出て来たよこのフレーズ

*14:数時間という語がふわっとしすぎてる

*15:またまるっきりかよ

*16:また色か

*17:もうのである使うなよ

*18:ない以外になかったのか?