近況報告⑦

 

 

 

東京

ライブが終わってなおのこと東京に留まっています。明日に向けて今日は早く寝た方がいいので、手短に済ませようと考える次第です。別にライブの感想を他人に向けて発信するような人間ではないので、それ以外のことについて書き殴ろうと思って筆を取るのです。

街の不連続性について考えることが多い性質です。土地に境界線は存在しないというのは事実で、例えばある街から別の街へと歩く際に、ある一点を境に雰囲気が突然変わるなんてことはないはずです。一駅を線路沿いに歩いてみれば、その道中にある街と街との変化はいつだって連続的で漸進的です。

その変化を目に入れるため、わざわざ駅から駅へと歩いてみようとします。で、何の成果も得られないわけですよね。駅間歩行はいつだって退屈です。退屈で無意味です。

はてさてどうしてこんな虚無な文章をわざわざ書いたのか。それは俺が今日秋葉原から馬喰町まで歩かされたからなんですね。馬喰町はバクロチョウと読む、名前が不思議な街で、総武線沿いにある駅です。個人的に東京以西の総武線は絶望感が凄いという偏見があります。大体新小岩のせいです。まぁ馬喰町というのもなかなか底知れない虚無感の漂う街なのですが、これが秋葉原から10分ほど靖国通りを歩けば辿り着く街なのですよね。ものの10分で陰陽が反転してしまうような、街という概念の不思議を感じ取ったわけです。ああ不思議。こういう一種の複雑怪奇が俺を東京へと引き付けるのです。

 

人に話しかけられる

知らない人に話しかけられることにあまりいい思い出はなくて、例えば俺が高校時代に三宮のオフィス街を歩いていたとき(オフィス街の方にあるフレッシュネスバーガーで飯を食おうとしていた)、明らかに社会人向けのアンケートみたいなものを渡された経験があります。僕高校生ですよと言ったときの向こうの驚きようをよく覚えています。

今日は秋葉原UDX近くで佇んでいたのですが、社会人向け資産がどうのこうのといったアンケートみたいなものを2回も渡されました(2回とも丁重に断った)。オフィス街の近くで佇んでいるからむべなるかなという感じなのですが、俺はどうもイイヒトオーラをぽかぽか醸し出しているらしく、よくそういう目に遭います。タリーズではんなりしていたら人文系のアンケートを渡されて碌すっぽ知識もないのにアンケートに答える羽目になったりしますし、百万遍で配ってるAmazon Studentのカードみたいなアレを配ってる人は俺だけに照準を合わせて近づいてきます。いい人っぽいって評価は言葉とは裏腹に悪口ですらあると(俺は)考えているので個人的に全く嬉しくありません。

ライブ前に歩道橋みたいなところで佇んでいたら、知らない人2人組(若くもなく年配でもない社会人s)に話しかけられました。いつ幸福の壺を売りつけられるのかといった警戒心は保持しつつも、話すだけなら何の害もないのでしばらく会話に興じていたわけです。向こうが勝手に話題を膨らませてくれて、コミュニケーションに付随する時限爆弾チックな重苦しさ(俺は会話を時限爆弾だと捉えている)もなく思うままに会話をしました。フェンダーの描かれていたTシャツを着ていたせいか、「楽器弾けそう」だったり「ロック好きそう」だったり、絶対見た目と関係ないような謎評価をいただきました。楽器は弾けないしロックは好きと言えるほどに聴いていない。見ず知らずの他人に友人関係の構築の目的で話しかけるのは都会の人固有の孤独だと思っていて(これは対照実験をしていないので偽です、真に受けないでください)、不思議な虚脱感と昂揚感に襲われました。

久しぶりにヘアワックスをつけて外に出歩いたのですが、知らないうちに前髪にめっちゃ埃がついていて(トイレの鏡で気付いた)、最高にダサかったです。向いてない。俺がワックスをつけるのはライブと同人誌即売(NFなどもそれに該当する)と新歓とかのときだけです(基本)。オタクの自己紹介でした。