東京旅行 3日目

今日も今日とて工事の音で目を覚ました。きっかり8時間寝たというのにさらにもう8時間ぐらい眠れそうなほどに眠かったのを記憶している。駅前ではちょっとした祭りをやっていたようで、吹奏楽部らしき中学生がシュガーソングとビターステップを演奏していた。対する見物客は高齢者ばかりで、誰一人として原曲を知らなそうなのである。

今日は東京の北西を回った。

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最初の目的地は池袋だった。どこまでも突き抜けるような青空が浮かんでいた。東口を出た先にあった中池袋公園には桜が咲いていて(画像を参照)、フリーマーケットと称して安いハンカチやらチョコバナナやら仮面ライダーの可動式ベルトの玩具を売っていたりした。意地でも花見させまいという気概なのだろう。高2までフリーマーケットのフリーをfreeだと思っていたことを思い出した。

池袋で昼ご飯にありついて、その足でカフェに突入した。カフェの店員と店に入ってきた人との以下のような会話、「いらっしゃいませ、おひとり様ですか」「面接です」というのが印象的だった。五十嵐響子のssを書いていたが、いまいち筆が乗らなかった。

15時頃に池袋を後にする。次の目的地は練馬で、3時間ほど時間がぽっかり空いているので、折角だし練馬まで歩くことにした。おおかた東京メトロ有楽町線の真上を歩くルートである。過去に書いたssの線路の上を歩くシーンを思い返しながら、池袋-要町-千川-小竹向原-新桜台-桜台-練馬 を歩いた。

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池袋を僅かに南に行ったところにとんでもない高さの建設中のビルがあった。あまりに高すぎて流石に恐怖心を覚えた。小さいころにJR京都駅の天井を見て感じた戦慄によく似ていた。しかし写真だとせいぜいコストコの高い棚の上にある商品程度にしか高く感じられないのが残念でならない。

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別アングル。右の建物がさっきの高いビルである。ここまで高いと、上で工事をしている作業員も怖いもの見たさで下を覗いてみるんじゃないかと推測した。高いところから下を覗くのは落ちるかもしれない恐怖として片付くけど、下から高いところや巨大なものを見たときに感じる恐怖心の源泉は一体何なのだろう。ずっと昔から血に流れているバベルの塔の教訓なのかもしれない、と考えると非常に納得がいくしオカルトである。

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池袋西口公園。桜はここでも咲いている。公園の至る所に謎い前衛芸術的なモニュメントが置いてあった。多ければ多いほどいいというものでも無いように思う。

手に水晶を持った大道芸人が見世物をやっていた。水晶を地面に落とさずに指の力だけでぐるぐると手のひらの上で回していた。曰く水晶は東急ハンズで売っているらしい。ハンズ本当に何でもあるんだな。

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要町は特に何もなかった。めぼしいものはやはり東京ではどこにでもあるジョナサンぐらいで、利用用途の分からないけれどとにかく高い何か(建物ですらない)が地面から突き出しているのが本当に意味不明だった。セーブポイントみたいなレンガ造りの道に鳩が大量にたむろしていた(上の画像)。

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千川を通り過ぎて、小竹向原である。真っ直ぐな道を妨害するかのように小学校が建っていた。校庭と区切り用のネット、そして相変わらず咲いている桜が目に映る。フィクションでよく見るような光景そのものだった。

小竹向原から先の道はレンガの階段を上った先にある。駅前(といっても地下鉄の駅だから、人が想像する駅前とはかけ離れたもので、ベンチが3脚あるのみである)から電柱を撮った。電柱はいい文化。独りんぼエンヴィー。

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アベリアの植えてあるレンガの道をしばらく歩くと交差点に辿り着く。交差点を左折し、環七通りを歩く。

日本のどこに行っても車屋のある通りは存在するし、大体それは瀟洒に映る。どうして環七なんて名前なのかずっと考えて歩いていたけど大したものは思いつかない。調べてみたら環状線7号を縮めたものらしく、無味乾燥で面白みがない。

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新桜台を通過し、西武池袋線をまたぐ。画像はその高架橋からの一枚である。僅かに夕方の茜が空に絵の具一滴を落としていた。エモい。なんとなく、この先の線路がどこまでも続いているような錯覚を覚えた。

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千川通はこれでもかと言うほど桜が咲き乱れていた。桜が咲いているからか、頻繁に犬とすれ違った。それから道幅が京都の5倍ぐらいあった。

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練馬までのラストラン。途中にあった公園のベンチで少し本を読んだ。冷たい風が容赦なく体の温度を下げるので、20ページほど消化してのち読書を断念した。

練馬駅前は繁華街の様相を呈していたが、一定の田舎っぽさがあった。JR芦屋みたく駅の2階からペデストリアンデッキが伸びていた。夕焼けの写真を撮ろうとして、閑散としたその上を歩いた。最近のカメラは太陽を直で撮っても大丈夫というネットの文言を信じて、一瞬だけカメラを太陽に向けて写真を撮った。写真の中の太陽も十分に目が眩む。

ペデストリアンデッキではラップバトルに勤しむ若者たちがいて、本当にそんな人種が実在したのか、と得も言われぬ感動を覚えた。

 

練馬でご飯を食べて、そのまま帰宅した。歩いている当時はすごく楽しかったんだけど、これを書いてると「こいつ何が楽しいんだ……?」と思わずにはいられない。当の本人が幸せだったんだしいいや。

明日は渋谷に行く。何をするわけでもない。ただ、渋谷交差点のあのスタバ、一度は行ってみたい。