910(明るい話です)

 数日前に思った通りのことを呟いて平穏なリプライ合戦をした。と僕は思っていたのだが、僕と会話をした本人はなぜか怒っているし、周りの人は僕の軽率な長広舌の辛酸をなめる思いをしていたらしく、僕以外の全員が苦しい思いをしたようだった。此の世の癌である。本来なら返す言葉もございませんとただ首部を下げてればよいのだろうけど、僕自身のメカニズムを文字にしておかないと色々が闇に葬られる羽目となるため、ここに何故その言葉を使ったのかの動機を書いておく。

 

裏紙

 

 僕は当時、本当に何気なく「会誌は裏紙程度にもならない」と呟いたのだが、この文言は対話していた彼のみならず周りの人にもぶっささり、そのうえに外部の人間がこの文言にかこつけてよく分からない自意識過剰なエゴを呟いていた。前二つはともかく後のひとつはよくわからん。お前それっぽいこと呟いて自分に酔いたかっただけだろ。嗚呼、群像劇である。この文言は半分は事実でなくで半分は本当なのだが、嘘を吐かなければならぬ理由めいたものがあった。

 そもそも僕は会誌と何気なく呟いたけれど、ssのことにしか興味がないんだよな。だから絵の軛に同じことを適用して文句つけられても本当に困る。僕はssの話をしている。ssてのは絵と違って媒体に価値が依存しない。読めればいいんだ。インターネットには本当にえげつないレベルのssがごまんと転がっていて、それらは当然無料だ。そいつらと比較してみろ。我々がこのssは僕の言いたいことを表してるんだって叫んだところで、インターネットに転がってる名作が無料なんだから、どう足掻いたって適正価格は0円でしょ。リプライ合戦のあとに「他の人がどう思うか」の話をされたけど、僕は自分の書いたssの話をしてるんであって、他の人のssも裏紙程度にしかなんねえよなんてロックなことを言ったつもりは毛頭なかったんだけど。(これは確かに僕が頭の中で勝手に思ってた前提というかバイアスだったから僕に落ち度がある。ごめんね。僕は他の人のことを気にするほど器の大きい人間じゃないし、誰だって気にするほど見られてはいないしな。)

 残り半分の嘘は、対話してる人に自覚をしてほしかったところなんだよな。ちょっと前の例会のとき、なーんとなくみんなでご飯を食べに行くことになったんだけど、飯の選択肢が無くて、いっつも足繫く通ってる飯屋にみんなを連れてくことになった。彼はというと、まぁ特にそこまで深いこと考えてなかったんだろうけどさ、「その店美味しくなかったらサークル辞めるよ」って言われたんだよな。いや知らんがな。別に辞めてもらってもあんまり困らないでしょ。深く考えずにこんなこと言ったんならそれこそ普段からこういうことを考えてるってわけだからなぁ。

 というわけで、自覚を持ってほしかったんだよな。別に一人欠けようが大した問題はないって。僕は(誰だってそうかもしれないけど)僕がどう答えたら相手がどう返してくるかぐらいは読めるから、「裏紙程度」なんて言い方をしたら、辞めるって言うんだろうなぁって思ったんだ。案の定そうだった。だから僕は、君が辞めてもサークルはそんなに困らないよ、って返したんだ。最終的には彼は辞めるつもりはなかったらしく、なんやかんやで僕の文言は軽率だったね的な終わり方をしたけど。僕はつゆもそんなことを思ってないけど。

 この文言は必要悪だったんだ。

 

会誌のレゾンデートル

 

 僕は自称ss書きだとか創作者だとかとして調子に乗ってた時代があった。そんな自分を外から見つめてみる機会があって、そのとき自分が凄く説得力がない人間に見えたからやめた。それ以降、大した実績もないのに創作者を名乗ってる人にアレルギー反応を示すようになった。見習いの時期に大層な創作観を弄さないでほしい。すげえ説得力ねえぞそれ。

 僕たちが会誌を出すのは何故かというのをひたすら問われるのだけれど、それって「なんか面白そうだから」で済む話じゃないんだろうか?だってなんか面白そうじゃん。それ以上の理由がある?本作ってサークル参加するのって(真似事であっても)すげえ楽しいんだよな。みんなで集まって原稿書いてさ、完成した本見てニヤニヤしてさ、設営完了しました!とか言ってツイッターに画像上げたりするんだぜ。楽しそうだろ?すげえ楽しいよ。

 それでも本を作って売る理由は何だって聞かれるから僕なりに解答を書いておく。楽しいからってのは90%ぐらいなんだけど、残り10%はみんなを知りたいからなんだ。

 ssって、まぁ文章の大体がそうなんだけど、書いた人の中身がものすごく伝わってくるんだよな。その人間の知識量とか語彙とかだけじゃなくて、どんな世界が見えているかだとか、物質ひとつひとつをどの観点から見てるかだとか、心の奥底では何を考えてるかだとか、今までどんな経験をしてきたかだとか。作者の総体は文字になって僕の脳裏に刷り込まれてくる。普段は明るい人間がほの暗いお話を書いたり、シックな人間が幸せな世界を描いたり。目を見張るものがある。友達が書いた文章をすいすいと読み進めていくたびに、「こいつはこんな人間なんだな」だとか、「こんな世界の見え方なんだな」とか、そういう粒子が頭に入り込んできて、人物像を随時上書きしていく。

 僕はみんなを知りたいんだ。みんなを知りたいから、ssを書いてってお願いするんだ。まぁそれは、よく知ってる人間のssはあまり読む必要が無いってことなんだけど。僕がある友達のssについてあまり言及しないのは、その人間を良く知ってる(と思いこんでる)からなんだよね。

 

 

 

 こんなところかな。サークルの今後は本当に心配しなくてもいいし、僕は依然としてみんなを知りたいから、ちゃんと原稿を書いてもらうし、会誌は作るし、仮代表として仕事をするつもりだよ。ここに書いてあることは全部本当だ。それぐらいは信じてくれたっていいでしょ。