生きるクジラと架空病患者

退屈な柄のカーテンを開く。不快な音がキシリと鳴って、僕の脳内を不吉の二文字が貫いた。地上百階建てのマンションからはこの街の全貌が見渡せる。夜は既に終焉を迎えて、朝が鎌首を擡げて今か今かとにじり寄ってきていた。それでも月明かりのイエロウは眠…

本音を言う的なハッシュタグの残り数が余ってたので

あーーーめんどくせえなーーー ほんと何やってんだマジで。いやそもそも何が時空犯罪スコポラミンだよ馬鹿。全然意味ねえじゃねえかこの文字列。普段は言葉を大事にしない奴はクズだ無価値だ言ってるくせにお前が一番言葉を大事にしてねえじゃねえかよ。そん…

ナイフ

何十年か前に、盗んだバイクで走り出したり、校舎の窓ガラスを割ったりする趣旨の歌詞の曲が流行ったりもした。子供心には意味を理解こそできても、そんな歌詞が流行る理由がさっぱり理解できなかったものだけど、今はその歌詞に共感する人の気持ちが少し分…

リセット

アイツのことが嫌いだ――言葉にすらしたくないから、伏せながら文字を書く。アイツと言うのは人ではない。概念だ。 嫌いなんだよ。この上なく嫌いだ。どんな人間であってもアイツの前では理性のタガをぶっ壊して気色の悪い生き物になるから嫌いだ。アイツが居…

ハッピーエレジー

遥か過去に、「風邪を引きたい」といった趣旨の記事を投稿した覚えがある。さて実際に風邪を引いてみた感想は、『何となく得るものがあるけれど、とりあえず風邪を引くなら春休みが良かった』。 ここ最近は頻繁に人に会う。他者との会話は最大の薬であること…

ポエジー

ポエムポエジーポエットリー、と口ずさんでみる。空のくすんだライムグリーンの青色は見方を変えれば歪んだ緑にも思えた。街は死んだように沈黙していて、そこにあるもの全てを諦観とある種の安堵で包んでいるようだった。静謐な空気の粒子は僕の足元へと絡…

東京旅行 6日目

桜が綺麗に咲いているだとか上弦の月が孤高に輝いているだとか、対象物を自然に絞った上で感慨や感傷に浸る一連の行為は、単純に対象物として選択できるものが非人工物以外に無かったからだと思う。人工物の波が非人工物を飲み込んで、人の息がかかっていな…

東京旅行 5日目

部屋の乾燥に伴う強烈な掻痒で目を覚ました。慌てて顔を洗い、加湿器をつけて二度寝をし、そこからさらに4時間ほど眠ってから再び起床する。 5日目ともなると流石にやることがない。概ね行きたいところを回り尽くしたので、今日は進捗に極振りすることにした…

東京旅行 4日目

流石に日曜日には工事をやらないだろうという安易な思い込みは死を招く。今日の目覚ましも相変わらずに工事の音だった。昨日一昨日と異なる点は、起きた時間が11時半だったということである。寝すぎだ。 桜並木の下を通って駅に向かった。真昼間から桜の下で…

東京旅行 3日目

今日も今日とて工事の音で目を覚ました。きっかり8時間寝たというのにさらにもう8時間ぐらい眠れそうなほどに眠かったのを記憶している。駅前ではちょっとした祭りをやっていたようで、吹奏楽部らしき中学生がシュガーソングとビターステップを演奏していた…

東京旅行 2日目後半

私は今布団の中でこれを書いている。今日書いてた記事の続きを書く予定である。が、あまりに書くことがない。とりあえず撮った写真貼るかと思って撮った写真を眺めてたけど、そもそも5枚しか撮ってないし、被写体に物珍しいものはひとつもない。 あの後、秋…

東京旅行 2日目前半

僕は今、東京のとある通りに面したとあるカフェでこの文章を書いている。目の前を人やら自動車やらが通り過ぎていくのだが、眺めが悪い。カフェの天井とビルの屋上の隙間に目を遣ってみると、煙のような速度で雲が通り過ぎて行っているのが見える。何もかも…

オキシジェンシリンダー

変な夢を見ては、それを覚えている人間だと思う。それはヘンな動物に追いかけられて、唯一の逃亡手段である車が故障をしてエンドロールが流れたところで目が覚める夢だったり、地球が指折りの高山地帯を残して一面が海に覆われ、生き残れないことを悟った人…

躁病日和

自分を主人公だと思っている人間が嫌いだ、と思うことがよくある。それは私と性別が同じで私と血の繋がった人間を見てよく思うことで、それ以外の人間には無関係のことだ。だからもし誰かがこれを読んで、ナイフを首元に突きつけられた気分になったとしても…

ハリボテ

無意識に散らかった文章を書けたのは何かに怒っていたからで、何かに怒れるのは少なくとも怒りの対象が存在するときだけだ。生活は絶対に止めることのできない鉄道か何か、大きくて人工的な夜の生き物みたいなもので、僕は車輪の下を想像しながら客室で眠っ…

モバマスssと二次創作の話

追記:「他の作者からもモバマスでやる意味ないと思われてて草」というコメントを見かけたのですが、私は「モバマスでやる意味はない」と思ったことは一度もないです。むしろ私は、「モバマスでやる意味がないからやめろ!」みたいな多様性の排除につながる…

金星と木星と秋と冬

理系にせよ文系にせよ(積集合が空集合であるという仮定を元に議論を推し進めるナンセンスさはさておいて)どちらかかたっぽしか能がない人間を、その片方がものすごく尖ってでもいない限り、一途に嫌っている節がある。そもそも(世の中の96%はそうであって…

食用セルロース

女の子は砂糖とスパイスと水35L、炭素20㎏、アンモニア4L、石灰1.5㎏、リン800g、塩分250g、硝石100g、硫黄80g、フッ素7.5g、鉄5g、ケイ素3g、その他少量の15の元素でできているらしい。何を食べたらそうなるんだろう。 我々が吸収という言葉を目にしてぱっ…

一睡の夢

例会で原稿を書いていた。少し手を動かすのに疲れて、パソコンをぱたんと閉じて、目の前に映ってるぶんだけの景色を観葉植物のように眺めていると、何も憂鬱なことは思い当たらないのに、死にたいような、死の淵で深海の底をつまらなさそうに眺めているとき…

眠る鉄の塊

人は人と関わり始めた時点で、その人ならばこう考えるだろうななどどいう推測にも満たない思い込みの権化を心の中に飼い始めるのと同時に、その人間の存在そのものが桎梏となって、我々の行動を縛り始める。コミュニケーションとは結局のところ推測の連続で…

深淵と誕生日

開け放たれた窓の外で夏が鳴いていた。_____________________________________________________________________ 誕生日というものをひどくどうでもいいもののように思う。 なにがしかの作品では誕生日という本来なら人間自身は知りえないはずのものを知って…

炭酸水

常々思うことだが、(自明に)人は人を消費して生きている。私が今座っているベッドだとか、もう二日は点けっぱなしのエアコンだって、何ならこの建物だって、私はその製作や創造に一切のかかわりもなく、ただ金銭を支払うことによってのみその使用権を得て…

水掛け論

三日月が裏返って夏の夜空を真黒に照らしている。無限に落っこちてきているような灰褐色の建物がすべて眠っている。皆さんはどうお過ごしだろうか。 人間はいつだって多重人格で、私を司る幾多の感情が今日も意思決定に紐をくくってあちらこちらへと船頭多く…

マイルドカフェオレアイスショコラ

梅雨は結局やってこなかった。蝉が鳴き始めたという噂を聞きつけてイヤホンを取って街を歩いたりもしたが聞こえるのは車の騒音ばかり。夏は青だの夏は群青だの、高尚っぽい言説を垂れては理想郷の夏のお話を繰り返すばかりで、風鈴の音を聞きつつ扇風機の風…

大阪ゴーストシップホール

順天候、梅雨前のモラトリアム。梅雨前線は雨の前に二三日、人間に対して梅雨に対応するための準備期間を設けている。本日はお日柄も良く、吐き下すほどには真っ白い雲が空の四分の一に居座っていた。その雲も忌まわしき直射日光を邪魔するまでには至らず、…

反実仮想

初夏と梅雨の中間地点。夜風を浴びながらコーヒーを飲む自分を想像するのは愚民の特権である。よし実行に移そう、思い立ったが吉日と近所のスーパーで安物の缶コーヒーを入手し、そいつを片手に家に帰ってくる。ところが想像ないし換言せずとも妄想であると…

息継ぎ

ツイッターのトップに野球のツイプラを固定していたがために、暫く振りにここに文字を書く。 課題は忙しく、レポートは雪崩のように襲い掛かってくる。ひたすら雪かきをしたところでトカゲの尻尾、鼬ごっこである。そのくせ休日は二週間に一回外せない用事も…

本質情報

信じてもらえないかもしれないけど、嫌いな人はいないんだよな。*1 日本には罪を憎んで人を憎まずということわざがある。何か嫌なことがあったときその人の一面を嫌うことはあれどその人そのものを嫌うことはないんだ。*2誰かの発言が自分の琴線に触れればそ…

うらやみ

おはようございます(^^)今日もいい天気ですね(^^) 0 言葉の怖さというものを知らない人間とこの世を暮らしているから、敵意なき悪意が戦場のごとく上空を飛び交ってぶつかり合っている。言葉は包丁だ、包丁で料理が捗るように、言葉は人間が開発した文明の利…

自己顕示欲

鉄道を交錯するように流れる川、その川沿いに乱れるように咲いていた桜、その桜の木が二週間見ないうちにすっかり緑色に染まっていた。葉桜を湛えた木は偏に中庸だった。二週間は短いな、と意味もないことを悟った気分になってキャリーバッグを片手に階段を…